池袋西武フロアプラン予想
今回、そごう・西武が発表したプレスリリースや一部報道[2]などの内容をもとに、池袋西武のリニューアルプランがどのようなものになるのかを独自に予想し、池袋駅東口がどのように変わっていくのかをより詳しく見てみることにしましょう。
池袋西武の改装工事が始まる前のフロアガイドはこのようなものでした[3]。

これが、このような展開になると予想します。

池袋西武は現状、各フロアともに、南ゾーン・中央ゾーン・北ゾーンからなり、ウナギの寝床と呼ばれるほど、横長な建物になっています。

事前の報道[4]などによれば、大部分のフロアにおいて、北ゾーンと中央ゾーンにヨドバシカメラが展開され、池袋西武は南ゾーンに入居するフロアプランが検討されているとされていました。今回のプレスリリースで公開された建築デザイン図もそれと矛盾しません。
おそらく、建築デザイン図の左端が池袋西武の建物を目白通り側(正面側)から見た時の左端であるでしょうから、池袋西武は現状の建物の南側、すなわち現在の南ゾーンに入居するとみて間違いないでしょう。また、コンセプト図のエスカレータと思わしき描写とフロアマップのエスカレータの位置を比べても、3~8階は現状の南ゾーン部分、地下2~地上2階の4階層は、南ゾーンに加えて、中央ゾーンの一部にも入居するプランだと言えると思います。
ただ、南ゾーンや中央ゾーンといったフロア分けはフロア案内のために便宜上エリア分けしているに過ぎず、構造上の分断や段差等があるわけではありません。よって、池袋西武が入居するエリアとして必ずしもこのエリア分けに従うわけではなく、実際に今回作成した予想プランでは、3~8階においても極小さい面積において、現在の中央ゾーンにもはみ出す形になるのではないかと予想しています。
この改装プランについて、以下の視点でより詳しく見ていきましょう。
東口の「顔」はヨドバシカメラになる
既に上で述べた通り、池袋西武は現在の建物の南側のエリアに入居することが推測できます。平面図からもわかるように、南エリアは北・中央・南ゾーンの中で最も奥行きが大きく、3エリアの中では最も使い勝手が良いエリアであると言えるでしょう。
また、中央ゾーンと北ゾーンが8階建てであるのに対し、南ゾーンは12階建てであり、9階から北・中央ゾーンの屋上である空中庭園へのアクセスも確保できます。
しかしながら、池袋駅や池袋東口付近の道路や繁華街の位置関係を見ると、池袋西武の南ゾーン入居は必ずしも喜ばしいことばかりではないことが分かります。この地図を見てみてください。

池袋西武の現在の建物は、東口の中心といえるであろう駅前の大通り(ロータリーのようなもの)から若干南側(この地図では左側)にずれていることがわかるでしょうか。JR池袋駅の東口やサンシャインシティにつながる60階通りと東口五差路で交差するグリーン大通りがあるあたりが東口付近で最も人が多いエリアといえるでしょうが、いずれも池袋西武の北ゾーン付近に位置します。
ヨドバシカメラが北ゾーンや中央ゾーンに直営店を構え、南ゾーンに池袋西武が入居することは、すなわち建物の北側・東口の中心区に最も近い部分をヨドバシカメラにし、南に少し外れた部分に池袋西武が追いやられた、とみて取れなくもないわけです。
さて、このことを踏まえ、東口の中心地といえるであろうあたりからの景観がどのように変わるのかを考えてみましょう。

東口中心地から最も目立つ部分はヨドバシカメラになります。グリーン大通りからも顔をのぞかせる大きな「SEIBU」のロゴマークも、長年にわたって西武百貨店を含むセゾン文化の象徴でもあり続けましたが、現在このロゴがある部分はヨドバシカメラになるため、移設されるのでしょうか?
東口の「顔」であった池袋西武は中心地に近い部分を明け渡すことになるため、東口の新たな「顔」はヨドバシカメラになりそうです。
続いて、もう少し南側に移動します。(上の画像のさらに左側にも建物は続いている)

西武池袋線池袋駅の地上改札口付近から南は低層階に池袋西武が入り、高層階はヨドバシカメラが直営店を構えるエリアが広がりますが、現在の南ゾーン付近から池袋西武がすべてのフロアに入居すると考えられます。
なお、この画像では大部分がヨドバシカメラになってしまい、池袋西武がとても小さく見えてしまいますが、上で挙げたフロアマップを見てもらえればわかる通り、北・中央ゾーンは細長い一方で、南ゾーンは奥行きが大きいためであり、繰り返しになりますが、池袋西武は現在の建物の約半分程の売り場面積を占有する見通しです。
しかしながら、東口を訪れる人や目白通り・グリーン大通りを通る通行人にしてみれば、ヨドバシカメラが目に入りやすく印象的に映る一方で、池袋西武は、どこか隅の方に小さく店を構えているイメージを受けてしまいかねません。
情報池袋西武には別館、書籍館が本館の南側(画像左)にあります。公式発表ではどのような扱いになるかは発表されていませんが、一部報道によると、現在本館にあるラグジュアリブランドが別館に移転するとの情報もありました。
池袋駅地下コンコースからのアクセス経路が変わる
池袋駅東口からの景観やアクセスも重要ですが、池袋駅の地下コンコース内でのロケーションも重要です。なぜならば、池袋西武に池袋駅から訪れる場合、地上階に出る必要はないため、多くの客が地下コンコースに面した入口から入店しているものと思われるからです。
現在、池袋駅の地下(地下1階層)コンコース網はこのようになっています。

東西を結ぶ通路には、南通路・中央通路・北通路の3通路があり、JR線の改札口はそのいずれにも面していて、多くの通行人がこの3通路を使用します。特に南通路には東京メトロ有楽町線が、中央通路には丸ノ内線と副都心線に通じる通路があり、日中でも多くの通行があるほど、人通りが多いエリアです。
現状では、池袋西武が南北にわたって広く展開しており、南・中央通路を通りながら地上階に出るために、東口方向に向かうと、自然と池袋西武のデパ地下が目に入るようなロケーションになっています。
これが改装プランが実現した暁には、こうなると考えています。

地下1階では、現状の北ゾーン部分にヨドバシカメラ、中央・南ゾーンに池袋西武が入居すると考えています。すると、南通路では東口方面に歩くと池袋西武が目に入る構図は変わりませんが、中央通りを通って東口方面に向かおうとすると、ヨドバシカメラが代わりに入居していることになります。
JR線等で池袋駅に到着し、中央通路を使って東口方面に向かったり、池袋ショッピングパークに向かったりすると、途中ヨドバシカメラに挟まれる構図となり、大きな広告効果が見込まれます。ヨドバシカメラの地下1階での売り場面積はそこまで大きくないですが、客を引き込み、上層階の売り場にエレベータやエスカレータで送り込むためには十分の広さと完璧な立地といえるのではないでしょうか。
ちなみに、現在池袋駅東口側にある家電量販店のヤマダ電機(LABI1 LifeSelect池袋)は図の右下の池袋ショッピングパークから地下でつながっており、ビックカメラの池袋本店は、同じく池袋ショッピングパークにある出口を地上階に上がってすぐのところにあります。しかしながら両者とも、駅改札口からは距離があり、複雑に入り組んだ道を通っていかなければならず、地下からのアクセスはあくまでも池袋を知り尽くした人向けであると言えます。
このようなロケーションにあるヤマダ電機・ビックカメラ両者に対して、ヨドバシカメラは大きなアドバンテージを持つことになることは間違いないでしょう。