※この記事には最新の情報を加味した新しいバージョンがあります。
こんにちは。
先日公開した西武池袋本店リニューアルプランを考えてみる。を書いてから早1ヵ月弱。それ以降、予想以上に池袋西武の動きが活発だったため、改めて池袋西武の現状を振り返ります。
運命の7月31日
池袋西武のドル箱といえば、地下のデパ地下です。西武食品館という名前が付いた池袋西武の地下の内、地下1階南ゾーンにおかず市場(お惣菜)があり、中央ゾーンにスイーツ&ギフトがありました。どちらも平日日中でも混雑するほど繁盛していました。
これが7月31日をもって、営業を終了しました。
これらがどのような立地にあったかは、前稿(西武池袋本店リニューアルプランを考えてみる。)でお示しした通りです。

JR線や地下鉄線、西武池袋線からの乗り換え時に立ち寄りやすい好立地にある池袋西武のデパ地下は、その立地故に多くのお客さんがデパ地下で買い物に立ち寄っていたということ以上に、地下コンコースでの池袋西武の看板の役割を果たしていました。百貨店への事実上の玄関口の役割を果たしていたのです。
営業終了の翌日である、8月1日に行ってみると、これまでのデパ地下の入口の大部分はシャッターが閉まった状態で、上層階へのエレベータへのアクセスのために、一部のシャッターのみが開いている感じでした。
壁や柱には大きな「西武池袋本館営業中」のポスターが張られ、全面改装のために入口を制限している旨が説明されていましたが、多くのお客さんが、閉ざされたシャッターの前で、デパ地下の閉店に戸惑っているようでした。
エレベーターやエスカレーターも不停止・不通のオンパレードで、通路も通行止めが多く、目当ての場所にたどり着くのは失礼ながら困難を極めます。
情報池袋西武のデパ地下は8月2日より、7階南ゾーン・催事場で仮営業を始めます。これまであったブランド・ショップの一部が規模を縮小しつつもリニューアル期間の間、営業するとのことです。これについては後述します。
運命の"8"月31日
ただ当然これで終わりではありません。8月31日までには実質閉店状態になるのではないかといった声も聞かれるのです。
2ヵ月弱前(6月10日にそごう・西武のプレスリリースが発表されたのと時を前後して)、張り出されたフロアガイドには、多くの営業終了予告が含まれ、衝撃でした。その時のフロアマップがこちら。
この時、予告されてた通り、
営業終了日 | フロア | ゾーン | 売り物 |
---|---|---|---|
2024年1月31日(水) | B2F | 南ゾーン | ザ・ガーデン自由が丘 |
4月30日(火) | 7F(インテリアフロア) | 南ゾーン | 呉服・趣味の店他 |
5月26日(日) | 8F(スポーツフロア) | 南ゾーン | 西武スポーツ |
7月7日(日) | 4F(婦人服フロア) | 北ゾーン | 婦人服 |
5F(紳士服フロア) | 北ゾーン | 紳士服 | |
6F(子供服フロア) | 北・中央ゾーン | 子供服・高級雑貨 | |
7月15日(月) | 4F(婦人服フロア) | 中央ゾーン | 婦人服 |
5F(紳士服フロア) | 中央ゾーン | 紳士服 | |
7月17日(水) | 7F(インテリアフロア) | 北ゾーン | インテリア・ギフトサロン・商品券 |
7月21日(日) | 3F(婦人服フロア) | 北ゾーン | 婦人服 |
7月22日(月) | 2F | 中央ゾーン | アート雑貨 |
7月26日(金) | 7F(インテリアフロア) | 中央ゾーン | インテリア |
7月28日(日) | 3F(婦人服フロア) | 中央ゾーン | 婦人服・婦人雑貨 |
本館・別館間 | アインズ&ドルぺ | ||
7月31日(水) | B1F(デパ地下) | 中央・南ゾーン | 西武食品館<おかず市場・スイーツ&ギフト> |
2F | 中央・北ゾーン | 化粧品・特設会場 | |
3F(婦人服フロア) | 南ゾーン | 婦人服 |
が閉店しました。そして、8月1日時点で公表されているフロアマップがこちらです。
灰色が上に挙げた通り、営業を終了したフロア・売り場であり、赤が今後営業を終了することが予告されているエリアになります。新たに、南ゾーンを中心にプレステージブティックや紳士・婦人服・ティファニー等が営業終了することが発表されています。
情報プレステージとは富や権力の意味、ブティックとは高級アパレルや宝飾品などのファッション品を扱う小規模専門店を意味しますので、プレステージブティックとは、高級ラグジュアリファッション商品の小規模専門店の集まりのことになります。
8月31日までに、上のフロアマップの灰色と赤で塗られている部分が閉鎖され、
- 9~12F: ロフト
- 8F: レストラン ダイニングパーク池袋
- 7F: 催事場(前述の通りデパ地下が仮営業)
- 1F: 化粧品・エルメス・ルイ・ヴィトン
- B2F: 西武食品館生鮮食品
- その他のデスクやサロン・別館・書籍館等
を除いた、池袋西武の大部分が営業終了することになります。(参考: 池袋西武フロアガイド)
ここはどうなった?
前回の(西武池袋本店リニューアルプランを考えてみる。)を書いて以来の進展によって、リニューアルの行く末について、いくつか分かったこと・気になることが出てきました。また、前回独自に作成したリニューアル改装後のフロアプランについて、現状の動きにそぐわない部分が出てきましたので修正したいと思います。
9~12Fのロフト
前回の記事では、若干ごまかし気味にしてありました。

というのも、そごう・西武のプレスリリースでは一切触れられていなかったからです。それもそのはず、ロフトはもとをたどれば西武百貨店から派生していて、紆余曲折を経ながらも、そごう・西武傘下であった時期もありましたが、そごう・西武が売却された今、セブン・アンド・アイ傘下のロフトは、全くの別会社になります。プレスリリースで触れられないのも無理はありません。
ただ不透明ながらも、おそらくは、ロフト自体は今のところに残るのではないかと考えられます。というのも、
- 未だに営業終了などのお知らせは一切ない
- 今までも9~12Fにあったが、そもそもこれまでも池袋西武の1ショップという扱いよりかは、同じ建物に入っている別テナントのように見える(百貨店のショップはテナントではない)
と考えられます。そごう・西武のプレスリリースに載っていた建築デザイン図にも地上8階までしか載っていませんでした。9Fより上はロフトが池袋西武の管轄外で入居すると考えるのが無難です。
8Fのダイニングパーク池袋
前回、
おそらくは、ヨドバシカメラのコンテンツとして、レストラン街が上層階に入るのではないかと考えています。実際、秋葉原のヨドバシカメラや、同じく池袋にあるヤマダ電機LABI1にも上層階にレストラン街があり、ヨドバシカメラがテナントとしてレストランを残すことは何ら不自然なことではありません。
こんなことを書きましたが、そごう・西武の西武池袋本店ウェブサイトに、ダイニングパーク池袋はヨドバシHD池袋ビル(商業施設の仮称)のレストランフロアに変更になるとのお知らせが掲載されていました。よって、池袋西武からはレストラン街が消滅することが確定しました。
屋上の食と緑の空中庭園
食と緑の空中庭園の取り扱いについては未定とのことでしたが、
営業終了日 | ショップ名 | 取扱品 |
---|---|---|
不明(かなり前) | ラ・テラス(La Terrasse) | レストラン&バー |
6月30日(日) | 讃岐かるかや | 讃岐うどん |
土屋観賞魚販売 | 観賞魚他 | |
7月21日(日) | 誠香園 | 伝統園芸品種(盆栽等) |
7月26日(金) | COTO tree HIBIYA KADAN | 植物ブランド |
~8月18日(日)までに順次 | フードカート | フィッシュアンドチップス・ピッツァ・フォー等 |
が閉店、あるいは閉店予定であることが発表されました。
個人的にはフードカートの1つである、「フォーおいしい」が好きでよく食べていたので、なんとなく分かっていたこととはいえ、「なくなっちゃうのかぁ」と寂しい気持ちになります。讃岐うどんのかるかやも閉店間際は朝から整理券をとらないといけないほど混雑していたようです。
これで「空と緑の空中庭園」にあった大部分のショップが閉店することになりますが、「睡蓮の庭」を始めとする多くの自然や装飾があり、今後どうなるのかが注目です。いずれにしても改装なり閉鎖なり、何らかの手が加えられることになりそうです。
1~2Fのルイ・ヴィトン
ヨドバシカメラとの共存化計画の中で最も注目されていたのが、高級ブランドの移転交渉です。出店しているブランドショップはショップ独自の店舗環境基準を設けているところも多く、どんな百貨店やショッピングセンターにも出店するわけではありません。ブランドの品と格を尊重し、それらに傷がつかない環境にしか出店しない方針をとっているのです。
現在、北ゾーンの最北端部分1F~2Fにメゾネットタイプの大規模ショップを構えるルイ・ヴィトンがこの方針を立てているとは明言できませんが、かねてからヨドバシ改装案を承認しないとするなど、波乱を予感させていました。
一部では改装案の変更をもってルイ・ヴィトンと妥結したとの報道もあった気がしますが、結局どうなったのかは明らかになっていません。これまでのところ、2022年10月に増床しリニューアルオープンしたメゾネットタイプのルイ・ヴィトンの店舗が移転・閉店するなどの情報はありませんが、ルイ・ヴィトン周辺についてはいくつかの可能性を指摘できます。
- ルイ・ヴィトンが南側に移転。移転後のショップが完成してから営業終了し移転する。
- ルイ・ヴィトンは現在の場所に留まる。ただ周辺がヨドバシカメラに囲まれた中にポツンとルイ・ヴィトンは厳しいだろうから、1階にはヨドバシカメラは出店しない。
これまでは1.だと思っていましたが、色々な報道を改めてあさるとどちらもあり得る気がしてくるのです。
可能性1: 低層階がヨドバシになる
理由としては
- ヨドバシは地下1階と2階以上に出店することはほぼ確実
- 1Fからのアクセスは重要
- 1Fの北ゾーン(ルイヴィトンを除く部分)は営業終了が決まっている
- ヨドバシカメラの新形態店舗YodoBloomはすでに1階部分に開店している
等が挙げられ、どちらかというとこちらが現実的な気がします。
可能性2: 低層階は池袋西武のブランドショップになる
理由としては
- ルイ・ヴィトンは2022年に完成したばかり。それが移転するのかは甚だ疑問
- 低層階への出店は地域と文化への配慮で見送ったとの報道もある
- ヨドバシへの引き渡しのための閉店は2024年8月までに行うといった一部情報があったものの、1Fはルイ・ヴィトン横の一部エリアを除いて営業終了予告がない
等が挙げられます。このプランでは地上階からアクセスできる1Fの目白通りに面している区画に、ルイ・ヴィトンを含むラグジュアリブランド店や化粧品・コスメショップが現状のまま残るのではないかといった予想になります。
B1Fのデパ地下(西武食品館)
デパ地下は前述の通り、総菜の「おかず市場」とスイーツ系の「スイーツ&ギフト」はいずれも営業を終了しました。これまであったショップは、
- 取扱終了
- リニューアルオープンまで取扱一時停止
- 7階催事場に仮移転して営業
の3パターンに分かれるようです。閉店直前の7月末にデパ地下を見に行った時には、ショップごとに1~3のいずれになるのかを掲示していました。
7階での仮営業については、『「デパチカ」じゃなくて「デパナナ」です。』といったユニークなキャッチフレーズとともに、7階にて仮営業していることを知らせる広告もありました。
さて、このデパ地下について、前回の記事ではこのようなフロアプランを予想していました。

- スイーツ&ギフトが地下1Fの南から中央ゾーン
- おかず市場が地下2Fの南から中央ゾーン
地下1Fにスイーツ&ギフト、地下2Fにおかず市場というのは正しいと思います。というのもプレスリリースの建築デザイン図のコンセプトとして、地下1FはSweets, Bakery,...、地下2FはFresh Grocery, Liquor, Groceryと書かれているからです。食料品とお惣菜を地下2Fで販売することになるのだと思います。

一方で、出店エリアについては少し誤りがあったかもしれません。具体的には地下1Fの出店エリアとして、南と中央ゾーンに池袋西武のデパ地下、北ゾーンにヨドバシカメラと推測していました。

ただ、そごう・西武の公式ウェブサイトの西武池袋本店フロアマップを見ると、改装に伴って閉鎖された区画の表示に「改装工事中」と「営業終了」という言葉を使い分けていることに気が付きます。

上層階のマップを見ても、北・中央ゾーンの多くには営業終了の文字、南ゾーンには主に改装工事中の文字があります。言葉の意味から察するに、閉鎖された区画の内、池袋西武のエリアとして再オープンする区画は「改装工事中」、ヨドバシカメラ(あるいは他のテナント)のエリアとなる部分が「営業終了」と表記されていることが推測できます。
このことに留意して再び地下1Fのフロアマップを見ると、池袋西武のテリトリーは南ゾーンだけだと考える方が自然です。つまり、こういうことです。

考えてみれば、改装前の地下1Fは、南ゾーンから順番に、西武食品館おかず市場、スイーツ&ギフト、SEIBU BEONE(婦人服)でした。南・中央ゾーンが確保できるのであれば、駅乗り換え時の立ち寄り需要が高いお惣菜をわざわざ地下2Fに移すことは考えにくく、地下1Fにスイーツ&ギフト、地下2Fにお惣菜のレイアウトは、地下1Fの出店可能エリアが南ゾーンだけに限られた結果の苦肉の策なのでしょう。
フロア予想図を修正する
さて、以上の点を踏まえ、前回のフロアプランを微修正してみた結果がこれです。

変更点は
- B1Fの出店エリアを南&中央ゾーンから南ゾーンのみに変更
- 前回不明だった食と緑の空中庭園はおそらくは終了
- B2Fのデパ地下のフロア構成を修正
- 1Fのルイ・ヴィトンとブランドブティックを追加
です。
実際どうなるか...。注目です。
百貨店と家電量販店
近年、百貨店への家電量販店のテナント進出が止まりません。
大手電鉄系百貨店(店舗が2店舗以上ある百貨店)では、
百貨店 | 店名 | 量販店系列 | 規模 |
---|---|---|---|
東武百貨店 | 池袋店 | ノジマ | 1フロアの一部 |
船橋店 | ノジマ | 1フロアの一部 | |
東急百貨店 | 吉祥寺店 | ノジマ | 1フロアの一部 |
たまプラーザ店 | ノジマ | 1フロアの一部 | |
さっぽろ店 | ビックカメラ | 2フロアにわたって | |
小田急百貨店 | 新宿店(注: 後述) | ビックカメラ | 5フロアにわたって |
町田店 | ノジマ | 1フロア | |
近鉄百貨店 | 上本町店 | エディオン | 1フロアの一部 |
奈良店 | ケーズデンキ | 1フロアの一部 |
などの例があります。特に電鉄系の百貨店では、ファッションビルやショッピングセンター(S.C)が持つ、「専門店テナントを入れるビジネスモデル」への緩やかなシフトが起こっており、家電量販店に限らず、ニトリやダイソーといったテナントを入居させる例も散見されます。
小田急新宿店
この中で小田急新宿店について、少し見てみましょう。
小田急百貨店の新宿店は、元々、本店と呼ばれる大きな建物で営業していましたが、2022年9月末に再開発に伴って閉館し、現在は新宿西口ハルクという小田急系ショッピングセンターに新宿店を移転させ営業しています。再開発終了後の高層ビルには、食品・化粧品などを中心とした構成の百貨店として、再入居する見通しであるものの、どの程度の規模や構成になるのかは不透明です。
この現在の小田急新宿店の入る新宿西口ハルクは
フロア | ショップ |
---|---|
RF | ゴルフスクール |
8F | ハルクレストラン |
7F | 小田急百貨店(宝飾品・ギフトサロン・イベントスペース等)・ビューティー&サービス(テナント) |
3F~6F | ビックカメラ |
2F | ビックカメラ・小田急百貨店(婦人服/雑貨など) |
B2F~M2F | 小田急百貨店(食料品・化粧品・インターナショナルブティック・アクセサリーなど) |
B3F | 食堂酒場 ハル★チカ |
の構成で、小田急百貨店はあくまでもショッピングモールの1テナントに留まります。
この
- 建物の1テナントとしての百貨店である
- 同一建物内に家電量販店がある
- 一部フロアで百貨店と家電量販店が共存している
ことが、今後の池袋西武と酷似しています。
特に新宿西口ハルクの2階は、ビックカメラと小田急百貨店が通路を挟んで向かい合っています。それぞれ天井の梁の部分に着けられた「ビックカメラ」と「小田急百貨店」というビジネスモデルも理念も雰囲気も全く異なる両者の看板が近距離で向かい合い、2つの店舗がドアや壁もなく共存している姿は、慣れない私には少し異様な光景に見えました。
池袋西武でもほとんどのフロアで南ゾーンの池袋西武と中央・北ゾーンのビックカメラが隣り合う構成となる予定であり、小田急新宿店とビックカメラが隣り合う新宿西口ハルクの2Fが、未来予想図のように思えます。
そごう・西武は厳密な意味では電鉄系百貨店ではなく、事実電鉄系とは一線を画していますが、規模こそ違えど、今後の池袋西武の姿を予想・想像するうえでは重要なお手本になりそうです。
どうなる、池袋西武。
さて、改めて、池袋西武は今後どうなるのでしょうか。
今回は前回(西武池袋本店リニューアルプランを考えてみる。)に続いて、急遽現状わかってきていることをまとめ、リニューアル後の姿を再検討しました。そごう・西武のプレスリリースには売り場面積・ショップ数ともに概数が出ており、リニューアル後のプランが決まっていないことはないと思いますが、そごう・西武が計画の詳細を明らかにしない以上、予想を正確にするのは困難です。よって、将来の姿を予想し「ソワソワ」するのはここまでにし、今後は2025年のグランドオープンを"楽しみに"待つことにしましょう。
ところで、皆さんは、セゾングループという流通グループはご存じですね。流通グループというよりむしろ文化グループとすら形容されるこのグループの聖地はまさしく西武池袋本店です。その視点から池袋西武のこれまでの歴史と流れを、いずれ扱いたいと考えています。
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